9月

9月20日の誕生花〜シオン(オニノシコグサ)〜

十五夜草

今日は9月20日。
バスの日だそうです。
1903年9月20日に、日本で初めての営業バスが京都市内を走ったことに由来し、1987年に日本バス協会によって制定されました。

そんな9月20日の誕生花は、
「シオン」
というお花です。

今日はこのシオンについてご紹介します。

目次
◆特徴
◆花言葉
◆育てる際に気をつけたいこと

◆特徴

十五夜草

シオンは、東アジア原産のキク科シオン属の多年草です。
今昔物語に登場するほど古く、元々薬用としていたものが、平安時代に観賞用として植えられるようになったとされます。
日本国内では本州から九州にかけて咲いています。
しかし、近年野生のシオンは非常に少なくなってきており、野生で咲いていることは非常に稀となっています。
現在では純然たる野生のものは減少しており、環境省のレッドリストでは絶滅危惧II類(VU)に登録されているほどです。

草丈は1.5mから2m程に生長します。
葉や茎にはまばらに毛がついていて、触れるとややざらついた感じがします。

開花時期は夏から秋にかけての8月の終わり頃から10月です。
茎が上部で枝分かれして、淡紫色の頭花を散房状に多数咲かせます。
花径は3cm程で、花は周囲に花弁のような薄紫色の舌状花が一重に並び、中央に黄色の筒状の花を咲かせます。

◆花言葉

・思い出、君を忘れない、遠方にいる人を思う

平安時代の今昔物語の中に「兄弟二人、萱草・紫苑を植うる語」と言う話があり、紫苑は「見た人の心にあるものを、決して忘れさせない草」とされ、萱草(かんぞう、忘れ草)と対局をなす草とされています。

兄弟二人、萱草・紫苑を植うる語 (現代語訳)

 今は昔、あるところに二人の男の子がいた。ある時、父親が死んでしまったので、二人は嘆き悲しみ、どれだけ年月を重ねても忘れる事が出来なかった。
 二人は父親を土に埋葬し、恋しい時には一緒に墓に行き、涙を流して、我が身の憂いも嘆きも、生きた親に向かって話すように語って帰って行った。
 やがて年月を重ね、二人は朝廷に仕えて、私事を顧みる事も出来ないほど忙しい身となってしまったので、兄は、
「わたしはこのままでは慰められそうにない。萱草(かんぞう)という草は、見る人の思いを忘れさせてしまうと言う。墓の辺に植えてみよう」
 と、萱草を植えた。
 その後、弟は事ある毎に兄の家に行き、
「いつものように墓参りに行きましょう」
 と誘うのだったが、兄はなかなか都合が付かず、一緒に墓参りする事はなくなってしまった。
 弟はそんな兄の態度を嘆かわしく思った。
「私たち二人は父を恋い慕うその心をよりどころにして、毎日を過ごしてきた。兄は既に忘れてしまったと言うが、私は絶対に忘れまい」
 と心に念じ、
紫苑という草は、見た人の心にあるものを決して忘れさせないと聞く」
 と、紫苑を墓の辺に植え、いつもそこに行って紫苑の花を見ていたので、いよいよ忘れる事はなかった。
 このようにして年を送っていたのだが、ある日いつものように弟が墓参りをすると、突然、墓の中から声がした。
「私はお前の父親の屍を守る鬼である」
 弟はこの声を聞き、恐ろしさのあまり声も出ず答えずにいると、墓の中の鬼は優しい声で続けた。
「何も恐れる必要はない。父親と同様、私がお前を守ってやろう。お前が父親を恋い慕うその気持ちは、年月を送るといえども全く変わらなかった。お前の兄はお前と同様に悲しんでいるように見えたが、忘れ草の萱草を植えて、望み通りに父親の事を忘れる事が出来た。一方のお前は紫苑を植えて、これも望み通りに父親の事を忘れる事がなかった。お前の父親を慕うその志の並ならぬ事に感心した。私は鬼の身とは言えども、慈悲の心があり、ものを哀れむ心は深いつもりだ。――私はその日に起こる善悪の事を予知する力がある。お前の為にこの予言を夢で知らせてやろう」
 弟は涙を流してこれを喜んだ。
 それからというもの、弟はその日に起こる事を毎日夢で見た。身の上に起こる全ての事をはっきりと予知する事が出来た。これは親を恋い慕う心が深かったからである。
 このような事から、嬉しいことのある人は忘れな草の紫苑を植え、また憂いのある人は忘れ草の萱草を植えて、いつも見るべきであると語り伝えられている。

◆育てる際に気をつけたいこと

・育てる環境

日当たりがと水はけのよい、適度に湿り気のある土壌の場所を選びます。
水はけが悪いようであれば、腐葉土を混ぜ込むなどで対策をしてください。
花壇に植える場合は、草丈が高くなるので、後方に植え付けるようにすると見栄えがよくなります。

・水やり

鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。
夏場はよく水を吸い上げる上に、土の乾きがはやくなるので注意が必要です。
冬場は葉が枯れ、乾くのも遅くなるので生育期より回数を抑え、春になって芽が出始めたら、徐々に回数を増やして水を与えます。
地植えの場合は、植え付けてから2週間ほど乾かしすぎに注意し、あとは雨が降らず乾きすぎるときに与える程度で大丈夫です。

・肥料について

基本的に、多くの肥料は必要ありません。
鉢植えでは、3月から6月と9月頃に緩効性化成肥料を置き肥するか、液体肥料を定期的に与えます。
地植えでは、3月から4月頃に骨粉入りの固形油粕などを与えます。

・主な病害虫

アブラムシやハダニ、グンバイムシなどの害虫がつくことがあります。
葉が吸汁されると葉色が悪くなり、最後には枯れてしまいます。
葉裏にいることがあるので、発生してしまったら殺虫剤を散布して駆除します。
オルトラン粒剤を散布することで予防が可能です。


主な引用・参考元
HORTI by GreenSnap
かたかご 今昔物語集 兄弟二人、萱草・紫苑を植うる語(現代語訳)より